技術士受験にあたっての心構え

正しい努力で成果を

現在の目標は最短で「技術士試験」に合格することです。

効率的かつ効果的な方法で成果を出しましょう。

やるからには楽しみましょう

貴方の覚悟に基づき、技術士受験勉強に貴重な時間を投資することになります。

どうせやるなら楽しみながら成果を出しましょう。

技術士試験の過去問を解く目的を明確に

「技術士試験の過去問(一次試験)、(二次試験)」を解く目的は、分からない・できないことを明確にし、正しい回答に到達するまでの過程を把握することです。

正しい回答に到達しなかった技術士試験の過去問に、貴方の貴重な時間を投資しましょう。

技術士試験の過去問とは

「技術士試験の過去問(一次試験)、(二次試験)」は、定石集です。解法のインプットとして記憶しましょう。技術士試験の過去問の定石を記憶して初めて、応用が利いた独自の解法が生まれます。技術士試験の過去問を読んで、どのように解くか、何が答えか、何を知っておくべきかを明確に記憶しましょう。

技術士試験の過去問をインプットしましょう

認知心理学」では、記憶の3段階があります。

 (1)記銘(符号化):頑張って覚える

 (2)保持(貯蔵):しばらく覚えておく

 (3)想起(検索):必要な時に思い出す

この3段階が揃って始めて記憶が成立します。

「(1)記銘」して「(2)保持」した情報が「(3)想起」される方法は、3つあります。

 ①再生:言葉や絵でそのまま再現される

 ②再認:経験したと確認できる

 ③再構成:経験の組み合わせで再現される

技術士受験本番では、問題を解くにあたって、「(3)想起」の「①再生」、「(3)想起」の「③再構成」の2つの状態に保つ必要があります。そのためには「技術士試験の過去問(一次試験)、(二次試験)」を解いてインプットすることによって記憶に反復した刺激を加えましょう。

また、技術士受験本番では、問題を解くにあたって、適宜アウトプットできなければ「合否決定基準:60%以上の得点」を満足できません。アウトプットしやすい言葉や絵で記憶しましょう。

技術士試験の過去問は貴方に「(1)記銘」して「(2)保持」してほしい最重要情報というメッセージです。今すぐ技術士試験の過去問に取り組みましょう。今は解けない、直前の確認に使いたい等の理由で後回しにするのはもったいないです。

技術士受験本番では貴方の考えをアウトプット

技術士受験本番では、総合技術監理部門の場合、特に記述式について、貴方の知識と経験に基づき的確にアウトプットしなければなりません。そのためには「技術士試験の過去問(二次試験:総合技術監理部門)」を次に示す3段階で活用しましょう。

 〇全て書いて真似る(Subete Kaite Maneru):模範の解答を書き写す

 〇少し変えて真似る(Sukoshi Kaete Maneru):模範の解答を貴方の言葉で書く

 〇相当変えて学ぶ(Soutou Kaete Manabu):貴方の考えを貴方の言葉で書く

この3段階の頭文字をとって、名付けて、「3SKM活用」です。

記憶を理解に

貴方の考えを貴方の言葉で書くためには、記憶を理解に変えなければなりません。「3SKM活用」を通して、「(3)想起」の「①再生」、「(3)想起」の「③再構成」の2つを反復継続することによって、記銘して保持した情報が貴方の基礎になります。この基礎が関連してつながり始めると理解が進みます。この理解が貴方の血となり肉となります。技術士受験当日は、貴方の血となり肉となった理解を、限られた時間で自由に頭の中で組み合わせて、題意に沿ってアウトプットするだけです。

たった今、何を真似たか・学んだかを想起する習慣を身に付けましょう。すきま時間で十分です。徒歩・電車・バスでの移動中、休憩・トイレ・入浴の最中、就寝直前に何を真似たか・学んだかを想起する習慣も身に付けましょう。小さなことの積み重ねが大きな成果を生み出します。

徒歩・電車・バスでの移動中は、絶好の復習の機会です。昨日勉強したことの復習が最良です。「エビングハウスの忘却曲線」を踏まえると、勉強した後24時間以内に10分間の復習をすると、記憶率が100%に回復するからです。復習といっても優先順位の高いものから過去問の解答を読むだけで十分です。読むことができない場合は自分に教えるイメージで頭の中で思い出すだけで構いません。このとき、思い出せないこと、再確認しておきたいことがたくさん出てきます。これらをできるだけ早いうちに復習しましょう。これらの方法は、休憩・トイレ・入浴の最中、就寝直前にも適用できます。小さなことの積み重ねが大きな成果を生み出します。

理解を定着

貴方の血となり肉となった理解を脳に定着させて、限られた時間で自由に頭の中で組み合わせて、題意に沿ってアウトプットできるようにするには、5回以上の反復継続による刺激とある程度の時間が必要です。忘れても良いので、「技術士試験の過去問(二次試験:総合技術監理部門)」による記憶は早い段階で取り組みましょう。

頭を使えば使うほど、脳内のニューロンという神経細胞同士を接続するシナプスが変化するため脳が活性化します。脳が活性化すれば、処理能力が向上します。

5回以上の反復継続による刺激を数多く脳に送り、すぐにアウトプットできる記憶にしましょう。目の前に何もない状態から、「(3)想起」の「①再生」、「(3)想起」の「③再構成」を反復継続して練習しないと、技術士受験当日に頭が真っ白になります。この反復継続の練習は、時間の長さよりも回数が重要です。ただし、記銘する意識が必要です。記銘する意識を持ちながらリラックスして反復継続して練習することが最短の時間で確実に成果が出る方法です。

記憶の忘却

記憶は意識しないと忘却していきます。しかし、完全に消去されたわけではありません。脳内の「ニューロン」、「シナプス」には確実に残っています。単純にニューロン、シナプスの働きが弱くなっているだけです。そこで反復継続して練習し、ニューロン、シナプスの働きを強くする仕組みが必要になります。また、反復継続して練習しやすい環境を構築する必要があります。

反復継続の練習方法

「技術士試験の過去問(二次試験:総合技術監理部門)」は、まず解答を読みましょう。効率的かつ効果的に貴方の時間を活用するためです。

読んで分かったら、確認のため白紙に解答を書きましょう。読んで分かったときに白紙に解答を書けなければ、その後に解答を書ける可能性が著しく低いからです。

白紙に解答を書くときは、書けなくなったら途中で何度解答を見ても構いません。とにかく最後まで白紙に解答を書きましょう。

最後まで書けたら、再度白紙に解答を書きましょう。最終的には解答を見ずに白紙に解答を書けるまでやることが重要です。

解答を見ずに白紙に解答を書けるようになったら、次の技術士試験の過去問に取り組みましょう。その際、短時間で良いので、白紙に書いた解答を眺めておくと、記憶の定着に役立ちます。

生活の方法

生活はあらゆる活動の基礎です。良い生活を送っていないと、仕事、遊び、勉強等の目的が明確であっても成果は得られません。良い生活を送るためには時間の有効活用と睡眠の質向上が重要です。

時間を有効活用する方法

技術士試験は、試験当日、合格発表という明確なゴールがあります。限られた時間で如何に勉強時間を確保するかがポイントになります。勉強時間は長ければ良いというものではありません。例えば、1日10時間机に座っていても、実際の勉強3時間では合格という成果は出ません。そこで、単位時間あたりの勉強量を増やすため、一定時間、勉強に意識を向け続ける集中力を高めることが必要になります。

限られた時間を有効活用するため、技術士試験当日までの実行可能な年間・月間・日間スケジュールの3点セットを作成しましょう。スケジュールを作成したら、計画に沿って勉強を実行しましょう。実行する中で、仕事、家庭、趣味等で重要なイベントが発生します。その際は、スケジュールを眺めつつ緊急度と重要度を勘案して優先順位を決定しましょう。常に技術士受験の勉強を優先すると、我慢が重なってストレスがたまるからです。勉強を優先しなかった場合は、スケジュールを見直して遅れた分を挽回すれば良いのです。

集中力を高める方法

技術士受験にあたって集中力を高めるには、カウントアップ/カウントダウン機能付きのデジタルタイマーを活用しては如何でしょうか。

カウントアップ機能では、予定の勉強時間を決めた上で勉強開始時にスタートボタンを押します。勉強以外の食事・トイレ・休憩時間ではストップボタンを押します。再度勉強に戻ったらスタートボタンを押し、実質の勉強時間を測定します。これにより、実質の勉強時間とそれ以外の時間が明確になり、勉強時間が多いのか少ないのか実感できます。これを毎日継続すると、実質の勉強時間が徐々に予定の勉強時間に近づいていきます。限られた時間を有効活用するため、是非実行しましょう。

カウントダウン機能では、問題に応じて予定の解答時間を決めた上で解答開始時にスタートボタンを押します。予定の解答時間が近づいてきて、もう少しで解答できる場合には予定の解答時間になる前に延長時間を決めた上で設定しなおし再度スタートボタンを押します。この機能は、問題の解答だけでなく、読書、作業等に応用できます。

気分転換の方法

脳内の同じ「ニューロン」、「シナプス」を長時間使うと、情報伝達が上手くできなくなります。こうなるとストレスが蓄積し勉強効率が悪くなります。この場合はデジタルタイマーのカウントダウン機能で5分設定し、自分に合ったリラックス法で気分転換しましょう。目を閉じて深呼吸する、顔を洗う、コーヒーを飲む等、如何でしょうか。この際、5分以上の気分転換は要注意です。内心、勉強を止めたいと考えていて、気分転換を言い訳にしている可能性があります。技術士受験にあたって、勉強時間は勉強時間、気分転換は気分転換とメリハリをつけて効率的かつ効果的な勉強をしましょう。

雑念への対処方法

技術士受験の勉強中、自分の頭の中にふと何かがよぎります。ネットが見たい、電話がしたい、物が買いたい等の雑念です。この際、緊急かつ重要なことでなければ、メモ用紙に書き留めて勉強を中断しないようにしましょう。予定の勉強時間が終わった後に、メモ用紙を見て用を足すことですっきりします。この際、用を足さないと気になる場合は、先程と同様、要注意です。内心、勉強を止めたいと考えていて、用を足すことを言い訳にしている可能性があります。勉強時間とそれ以外の時間のメリハリをつけて効率的かつ効果的な勉強をしましょう。

表層意識と深層意識

人の意識は、10%の表層意識と90%の深層意識に分けることができます。表層意識とは自分の意思で自覚できる意識です。深層意識とは自分の意思で自覚できない意識です。深層意識には、これまでその人が経験してきたこと全てが感情や思考とともにデータとして記録・保管されています。人の思考や行動は、自分の意思で行っているように見えますが、実はそのほとんどが深層意識の中にあるデータに基づいています。やる気の有無は、深層意識の違いです。人は無意識に楽な方を選びがちなので、積極的に深層意識にやる気をインプットする必要があります。

深層意識にやる気をインプットする有効な方法は、明確な目的を持つことです。目的は合格以上のものをはっきりイメージしましょう。イメージが浅いと表層意識でとどまり、深層意識にやる気をインプットできません。技術士になって何をしたいのか、何に活用するのか明確な目的を持ちましょう。実際に深層意識からやる気が湧き出るようにするには、技術士になって活躍する姿を、感情を込めて現実と錯覚するほど鮮明にイメージしなければなりません。こうすることで記憶力、集中力、思考力が高まり、技術士試験当日に最大限の実力を発揮できます。

言霊の力

言葉は思いがけない力を持っています。自分や他人の言葉は、単なる記号ではなく、自分の深層意識に働きます。できない、ダメだ、間に合わない等の消極的な言葉は言ったり聞いたりしないようにしましょう。できる、大丈夫、調子が良い等の積極的な言葉を言ったり聞いたりしましょう。記憶力、集中力、思考力は、やる気に大きく左右されます。事あるごとに、よく記憶できている、よく集中している、思考が深まっている等、独り言を唱えましょう。次第にやる気が高まってきます。

睡眠の方法

目覚めの良い朝を迎えるために就寝時間を決めて確実に守りましょう。就寝時間を決めないと、夜更かしして勉強してしまうからです。

人間には1日25時間周期の体内時計があります。脳は、朝の日光を浴びて体内時計をリセットして1日24時間周期の地球の自転に伴う明暗時間に調節します。日光を浴びると、脳の覚醒を促す「セロトニン」の分泌が活発になります。

セロトニンは、やる気や集中力を高めるほか精神を安定させる働きを持つホルモンです。一方、夕方暗くなると、睡眠を促す「メラトニン」の分泌が増えます。

メラトニンは、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う働きを持つホルモンです。夜更かしして遅くまで明るいところで起きていると、メラトニンの分泌量が減って、体内時計のリズムが地球の自転に伴う明暗時間に調節できなくなります。

体内時計は睡眠だけでなく、体温、血圧、ホルモン分泌等を調節しています。睡眠リズムが乱れると体温リズムも乱れ、よく眠れずに午前中ボーっとしたり、疲れやすくなります。

午前0時までに就寝すると、入眠が早く、深い眠りにつけます。特に午後10時~午前2時の間は肌の代謝が活発です。この時間に眠ると疲れがとれやすく、肌もきれいになります。

睡眠は、時間の長さだけでなく、密度や深さといった質が重要です。時間の長さは個人差がありますが、概ね6~7時間ではないでしょうか。密度や深さといった質を向上するため、就寝時間3時間前には食事を済ませましょう。食事の消化に3時間かかり、就寝時間までに消化できないと睡眠の質が低下するからです。例えば、午後9時までに食事を済ませ、午前0時に就寝し、午前6~7時に起床してはいかがでしょうか。

入眠の方法

就寝時間に速やかに入眠することも重要です。例えば、478呼吸法はいかがでしょうか。

方法は極めてシンプルです。

 ①息を完全に吐きだす

 ②4秒間かけて鼻から息を吸う

 ③7秒間息を止める

 ④8秒間かけて口から息を吐きだす

①~④を繰り返すと、リラックスして心地よい睡眠が訪れます。腹式呼吸によりリラックスと休息の副交感神経の働きが高まるからです。

478呼吸法は、仕事や技術士受験当日等の緊張しすぎるときにも有効です。腹式呼吸により脳波がα波に変化するため、直前に行うと脳が冴えて良い考えが浮かぶはずです。

技術士試験直前にやってはいけないこと

技術士試験直前に新しい情報を記憶するのは避けましょう。新しい情報とそれまでに記憶した情報が混在し、試験当日に頭の中が混乱してしまうからです。一夜漬けの勉強は、焦り・疲れ・眠気を引き起こし、百害あって一利なしです。

技術士試験当日に試されていること

技術士試験は貴方の「(3)想起」の「①再生」、「(3)想起」の「③再構成」に関する思考を試しています。思考に必要なのは、技術士試験の過去問を通してなぜそうなるかを含めて解法を確実に記憶し、その中から技術士試験当日の問題に使えそうな情報をアウトプットすることです。「記憶した技術士試験の過去問と似ていないか」、「記憶した技術士試験の過去問で使えそうな情報はないか」をきっかけとして記憶した情報を検索しましょう。単純な暗記にとどめると、合格という成果は出ません。情報に脈絡がなく、検索してもひっかからないからです。

技術士試験の過去問の記憶にあたっては、イメージも活用することを意識しましょう。文字だけでは記憶に時間がかかる上、忘れやすいからです。技術士試験当日、イメージも活用して記憶した情報が検索にひっかかると、そのイメージを文字としてアウトプットできます。

技術士受験の指導・助言、合格体験の判定基準

技術士受験の指導・助言や合格体験が適切かどうかは、次の2つの基準で考えましょう。

 ◇貴方の腑に落ちるか

 ◇貴方が実行できるか

「技術士試験の問題の読解力を向上するため数多くの本を読みましょう」、「技術士受験にあたって文章の表現力を向上するため論理的思考力を磨きましょう」、「毎日〇時間以上勉強しましょう」、「専門分野の知識を全て暗記しましょう」、「キーワードを〇個以上学習しましょう」といった抽象的で相当時間がかかる勉強は、最短で合格という観点から効率的かつ効果的な方法といえるでしょうか。