(おさらい)技術士試験における「問題」と「課題」とは
技術士第二次試験においては、「【A】総合技術監理部門を除く技術部門」、「【B】総合技術監理部門」のどちらでも、以下となります。
「問題」:「あるべき姿(目標・水準)と現状とのギャップ(差異)」。
「問題=目標(水準)値-現状値」。
「課題」:「問題を解決するためになすべきこと」。
「令和4年度 技術士第二次試験 受験申込み案内」の6~8ページを見てみます。技術士には、「【A】総合技術監理部門を除く技術部門」では【問題解決能力及び課題遂行能力】が要求されています。また、「【B】総合技術監理部門」では【課題解決能力及び応用能力】が要求されています。
これらは、「修習技術者のための修習ガイドブック-第3版-」の11ページの「問題解決のステップ例」のうち「①~②:問題抽出」、「③~⑥:問題解決=課題遂行」を行う能力のことです。
「問題」と「課題」の具体例
「修習技術者のための修習ガイドブック-第3版-」の11~12ページにかけて、技術士が扱う複合的な問題の例が示されています。これらについて、総合技術監理の個別の管理技術と関連付けて問題と課題の具体例を考えてみます。
技術上の問題:ある一定の課題に対して、技術的な解決を求められる問題
・製造上の問題 ⇒ 工程遅延(経済性管理)⇒ 課題:工程遵守
・製品技術開発における問題 ⇒ コスト増(経済性管理)⇒ 課題:予算厳守
・品質に関する問題 ⇒ 品質低下(経済性管理)⇒ 課題:品質確保
工程上の問題:プロジェクトマネジメントに関する問題
・顧客に約束した納期に間に合わない ⇒ 納期遅延(経済性管理)⇒ 課題:納期遵守
・設計・施工する人が足りない ⇒ 担い手不足(経済性管理)⇒ 課題:担い手確保
組織の問題:組織間のコミュニケーション、業務上の連携に関する問題
・組織の連携がうまくいかない ⇒ 情報伝達不足(情報管理)⇒ 課題:確実な情報伝達の仕組み構築
・情報共有ができていない ⇒ 情報共有不足(情報管理)⇒ 課題:確実な情報共有の仕組み構築
・人の知識・技能が足りない ⇒ 能力不足(人的資源管理)⇒ 課題:技術継承
リスクマネジメントの問題:隠れたリスクが存在し、顕在化したときは組織や個人に大きなハザード(経済的損失、人命の被害)をもたらす
・内部告発から偽装が発覚した ⇒ 情報改ざん(情報管理)⇒ 課題:情報セキュリティの確保
・災害時に部品供給が停止する ⇒ 調達不可(経済性管理)⇒ 課題:サプライチェーンの複数・分散化
倫理の問題:法令に違反したことが行われている、または、公衆の安全に重大な影
響のある設計、施工、生産方法が行われている等
・耐震強度を偽装した構造計算を行い建築確認認可を得た ⇒ 建築基準法違反による不安全(安全管理)⇒ 課題:安全確保の仕組み構築
環境の問題:地域の環境、地球の環境の問題等、エンジニアの立場で関わるもの
・環境に配慮しない設計が行われた ⇒ 環境負荷増大(社会環境管理)⇒ 課題:環境配慮設計による負荷低減
・住民との合意形成がなされていない ⇒ コミュニケーション不足(情報管理)⇒ 課題:積極的な双方向コミュニケーション
予算上の問題:プロジェクトの予算には限りがある
・予算計画の問題 ⇒ 予算不足(経済性管理)⇒ 課題:予算確保
・資金獲得の問題 ⇒ 資金調達不足(経済性管理)⇒ 課題:資金調達先の複数・分散化
如何でしょうか?
「問題」と「課題」の理解を深めることはできたでしょうか?
「問題は、○○であるため、課題は、△△となる。課題とした理由は、□□であるためである。」のパターンに当てはめては如何でしょうか?