(おさらい)総合技術監理とは
総合技術監理は、公益確保を大前提に、事業運営や組織活動にあたり、5つの管理を駆使してトレードオフを調整し全体最適を継続することです。
「技術士 総合技術監理部門 キーワード集」の2~3ページにかけて、5つの管理とは何かが示されています。
5つの管理は、経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理です。
総合技術監理の技術体系と範囲
総合技術監理の技術体系として骨格となる管理技術は,経済性管理,人的資源管理,情報管理,安全管理,社会環境管理の5つである。これらそれぞれの管理技術の範囲を表1に示す。総合技術監理は,業務全体を俯瞰し,これら5つの管理に関する総合的な分析・評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う監理業務ということができよう。
出典:文部科学省ホームページ 総合技術監理部門の技術体系(キーワード)について
『総合技術監理 キーワード集 2022』
表1に人的資源管理は、「人の行動と組織、労働関係法と労務管理、人材活用計画、人材開発」とあります。
人的資源管理とは
ここから、人的資源管理とは何か考えてみます。
人的資源管理は、事業運営や組織活動にあたり、より良い労務管理を実現するため、労務関係法を遵守しつつ、人材の最適な活用とその継続的な能力開発を行うことです。
理由は、事業継続に欠かせないヒトの資源が有限である上、能力が一定でないためです。例えば、労働関係法を遵守していても、職場環境が良くなければ、技術員がやる気を失って能力を発揮できず事業継続できません。また、職場環境が良くても、技術員に対する教育訓練や職場のある単位での活動が不足すれば、個人と組織の能力を向上できず事業継続できません。
ヒトの行動モデル、組織形態、組織文化等の現状レベルを的確に把握し、技術員の意欲ややる気等が最適な状態になるように、組織構造、雇用形態改善の視点等から最適な人材活用計画を策定し、その計画に基づき技術員の能力を発揮・向上できる環境を構築する必要があります。
人的資源管理は、一言でいうと、「技術員の能力発揮・向上」です。
ここで、経済性管理の「生産の4M」が「人(Man)、設備(Machine)、原材料(Material)、金(Money)」であり、「人(Man)」が含まれています。しかし、この「人(Man)」は、人の適正配置や適正数確保を意味しています。留意しましょう。
以上を踏まえると、人的資源管理は、「人の活用」といえます。